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テクニック10:相手の動きや感情に合わせる

日時、季節の混乱」(第二ステージ)及び「繰り返し動作」(第三ステージ)にいる人は、よく感情が抑えられず直接表現します。彼らとコミュニケーションをを行うとき、彼らの身体的特徴やどんな動きをするかについて十分な情報を持っておくことは大変重要です。ケアギバーはお年寄りの目付きや表情、息遣い、顔色、あごの状態、下唇の様子、手、お腹、椅子に座っている様子、足の状態、そしてそれら筋肉全体がどうマッチして姿勢を維持しているかなど観察する必要があります。

お年寄りがウロウロ歩きまわる時、ケアギバーは一緒に歩きまわります。彼らが深く息をした時は、ケアギバーも深く息をします。共感を込めて鏡に写したように同じ行動をすることは信頼を築くのに役立ちます。これによってケアギバーは「日時、季節の混乱」にいる人の感性の世界に入り込むことが出来、言語的あるいは非言語的なコミュニケーションを築きあげる事ができます。

このミラーリング(相手の動きや感情に合わせる)のテクニックはお年寄りがケアギバーにはとても真似できないような奇妙な動きをした時までする必要はありません。またすべてのケアギバーがこのテクニックを試してみようと思う必要もありません。このテクニックは本当に心の底から「繰り返し動作」にいる人の世界に入り込みたいと思っているケアギバー以外は試みるべきではありません。

ホプキンスは、法律事務所の秘書をしており結婚歴はありません。彼女は同じ会社で45年働き続けました。そして86歳になった今、「繰り返し動作」にいて、いつも忙しくしています。仕事だけが彼女の唯一の誇りです。彼女はもう自力で姿勢を保つこともできなくなっています。しかし心のなかには、使い慣れたタイプライターが写っていて、彼女は上司のために、口述筆記を終わらせようと昔のように素晴らしく速いリズムで指を動かし、一生懸命タイプライターを打っています。バリデーションを行うケアギバーは彼女の指の動きに自分の指の動きを合わせます。ホプキンスはケアギバーの指の動きが自分の動きと合っているのに気づき、顔を上げます。そしてお互い見つめ合い一緒にタイプライターを打ちます。ケアギバーは賞賛を込めて笑いかけ、「1分間に何文字タイプできるんですか?」と聞きます。

「92」と自慢気に答えます。

これは彼女がホームに入って6ヶ月目に初めて発した言葉です。ケアギバーは彼女の動きに自分を合わせることによってホプキンスとの間に共感を築き上げました。この関係が確かなものになると、ホプキンスの視線は外へ向きだし、会話は改善され、より周囲に感心を示すようになりました。